このブログを検索

ページ

2026年4月2日木曜日

「PR」へのイメージ・信頼の国際比較:海外はネガティブ、日本はポジティブ?

※画像は生成AIを使用して作成。欧米の数値は、複数のデータを組み合わせて作成。

問題意識

PRに対する一般社会のイメージを測定した調査は、折に触れて公表されています。海外のPR業界ニュースを見ていると、「PR has a PR problem」といった見出しで、業界のネガティブな評価を指摘する記事も少なくありません(McCoy, 2023; Carter, 2024; Ibeh, 2026)。

一方で、『広報会議』2025年5月号に掲載された調査では、社会がPRに対して比較的好意的なイメージを抱いているという結果が示されました。

こうした違いがどのように理解できるのか、PRに関するイメージや信頼に関する調査結果をいくつか参照し、簡単に整理してみることにします。

各調査の結果

まず、日本の調査では、広報・PRの仕事に対して「ポジティブなイメージ」が71.6%、「ネガティブ」が28.4%と、比較的好意的な評価が示されています(広報会議, 2025)。

これに対して、欧州の調査では、PR・コミュニケーション専門職に対する「信頼」は12%にとどまり、「不信」が38%と大きく上回っています(Zerfass et al., 2019)。さらに国別に見ると、ドイツでは信頼8%・不信49%、イタリアでは信頼12%・不信47%と、いずれも不信が優勢です(Zerfass et al., 2019)。

イギリスでも同様の傾向が見られます。2015年の調査では、一般市民の約70%がPR業界を「信頼していない」と回答しています(Griggs & Aron, 2015)。また、2014年の調査では、「PR専門職への信頼が低下した」とする回答が36.9%に達し、「上昇した」は1.8%にとどまっています(PRmoment, 2014)。

米国ではPRそのものを対象とした直接的な調査は限られますが、近接する職種に対する評価を見ると、広告関係者の倫理性を「高い」と評価した割合は8%、企業経営者は12%、ジャーナリストは19%と、全体として低い水準にあります(Brenan & Jones, 2023)。

データの比較

これらを整理すると、以下のようになります。

地域測定対象肯定・信頼側否定・不信側特徴
日本イメージ71.60%28.40%比較的好意的
欧州信頼12%38%不信が優勢
英国信頼約30%以下約70%不信強い不信
米国近接職種8〜19%多数が低評価周辺も低信頼


何が言えるのか

ここで重要なのは、これらの調査が同じものを測っていないという点です。

日本では主に「イメージ(印象)」が問われているのに対し、欧州や英国では「信頼」や「倫理性」が問われています。この違いを無視して単純に数値を比較することは適切ではありません。

ただし、それでも複数のデータを並べると、一定の傾向は見えてきます。欧米ではPRが不信や倫理的疑念と結びつけられやすいのに対し、日本ではPRに対する否定的評価が比較的弱い、あるいは顕在化していない可能性があります。

したがって、「日本はPRを信頼している」というよりも、「PRに対する不信がまだ強く表面化していない」と捉える方が妥当のようです。

おわりに

PRはしばしば「信頼をつくる仕事」と説明されます。しかしその前提として、PRそのものがどの程度信頼されているのかという問いは、必ずしも十分に検討されてきたとは言えません。

今回のように限られたデータを並べるだけでも、PRの制度的位置や社会との関係の違いが、評価の差として現れている可能性が見えてきます。今後は、より厳密に比較可能なデータの蓄積とともに、この問題を検討していく必要があるでしょう。



参考文献

Brenan, M., & Jones, J. M. (2024, January 22). Ethics ratings of nearly all professions down in U.S. Gallup. https://news.gallup.com/poll/608903/ethics-ratings-nearly-professions-down.aspx

Carter, A. (2024, September 3). PR bad habits – where they come from and why media is pissed. PR Daily. https://www.prdaily.com/pr-bad-habits-where-they-come-from-and-why-media-is-pissed/

Griggs, I., & Aron, I. (2015, March 19). PR in the dock: Nearly 70 per cent of the general public does not trust the industry. PRWeek. https://www.prweek.co.uk/article/1339167/pr-dock-nearly-70-per-cent-general-public-does-not-trust-industry

Ibeh, S. (2026, January 28). Does PR have a PR problem? The PR Insider. https://curzonpr.com/theprinsider/does-pr-have-a-pr-problem/

McCoy, K. (2023, May 10). ‘There’s a lot of desperation’: Confessions of a PR industry veteran on PR’s ‘reputation problem.’ Digiday. https://digiday.com/marketing/theres-a-lot-of-desperation-confessions-of-a-pr-industry-veteran-on-prs-reputation-problem/

PRmoment. (2014, June 9). Public trust declines in both PR professionals and journalists. https://www.prmoment.com/pr-research/public-trust-declines-in-both-pr-professionals-and-journalists

Steele, N. (2023, February 17). PR has a PR problem. Progressions. https://progressions.prsa.org/index.php/2023/02/17/pr-has-a-pr-problem/

Zerfass, A., Wiesenberg, M., Tench, R., & Romenti, S. (2019). Trust in communicators 2019 study. https://www.leedsbeckett.ac.uk/-/media/images/schools/business/trust-in-communicators-2019-study--final-report-copy-2.pdf

「広報」に対するイメージは?生活者1000人調査. (2025, March 27). 広報会議. https://www.sendenkaigi.com/marketing/media/kouhoukaigi/032065/

2026年度からのブログ運用方針

しばらく更新していなかった本ブログを、再開することにしました。

本ブログでは、月刊誌や学術誌に投稿するほどではないものの、X(旧Twitter)に投稿するには分量が多い、PR(広報)に関する論点やトピックを記録していきます。具体的には、関心を持った文献の簡単な整理や、議論の素材となる論点のメモを中心に扱います。

記事は備忘録的な性格を持つため、スピードと継続性を重視し、生成AIを用いて下書きを作成したうえで、内容を確認・修正して公開します。そのため、記述の正確性や網羅性には限界があります。

あくまで思考の整理や議論のきっかけとしてのメモとして位置づけていますので、その点をご理解のうえお読みいただければ幸いです。

2023年6月21日水曜日

日本広報学会「広報の定義」プロジェクト関連リンク集

日本広報学会は6月20日、広報の定義を発表しました。

「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」

以下に学会の定義に関するリンクをまとめておきます。適宜更新・整理します。


2023年

■6月21日 日本広報学会(公式サイトお知らせ)    
「「広報」の最新定義を年次総会で発表」
https://www.jsccs.jp/info/news/post-4.html
『広報の定義と解説(本文)』 『広報の定義と解説(概要)』

■6月21日 日本広報学会(プレスリリース)
「「広報」の最新定義、日本広報学会が策定 「広報」を組織・個人における「経営機能」として位置付け」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000112753.html

■6月21日 AdverTimes.(アドタイ)
「日本広報学会、「広報」の最新定義を発表」
https://www.advertimes.com/20230621/article423842/

■6月22日 令和の広報PRノウハウ
「#200 「広報」の最新定義について解説」
https://voicy.jp/channel/1858/553712

■6月23日 広報Blog「MITSUE COLORS」
「日本広報学会による「広報」の最新定義」
https://www.mitsue.co.jp/knowledge/blog/pr/202306/28_0958.html

■6月27日 日刊工業新聞
「産業春秋/「広報」の定義まとまる」
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00677541

■月刊「広報」2023年7月号 日本広報協会
「「広報」を組織・個人における「経営機能」として位置付け〜「広報」の最新定義を策定(日本広報学会)」

■7月10日 日本広報学会
「「広報概念の定義」特設ページ」
https://www.jsccs.jp/concept/

■7月19日 ESG Journal
「日本広報学会、「広報」の最新定義を発表」
https://esgjournaljapan.com/domestic-news/30198

■8月15日 楽しく広告人学を学ぶ【アドバタラヂオ】
「#152【日本の"広報"が再定義された!】日本広報学会「新たな広報概念の定義プロジェクト」 スナケンズEYE」
https://bit.ly/3YB8mkr

■広報会議2023年9月号 
「「広報」の最新定義、日本広報学会が発表 業務や役割を見直す機会に」https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/202309/report/027181.php


2023年1月15日日曜日

広報研究関係の研究発表大会情報(随時更新予定)

 2022年に日本広報学会の国際化TF活動の一環として、「海外の広報研究発表大会」というページを学会サイト内に作成しました。海外の9つの大会とその概要、2022年の日程、テーマなどを掲載しました。

今後の最新情報も把握すべく、このページで国内外の広報研究発表大会について、それぞれ大会の日程や(もしあれば)大会特設サイトへのリンクを張っていきます。まとまってきたら、日本広報学会のサイトへの反映など検討予定です。
(抜けている学会情報等あれば、ご連絡いただければ幸いです。)
更新日:2023年1月15日(日)

2021年4月7日水曜日

広報会議連載「疫病と広報史」

 月刊『広報会議』に半年間連載させて頂いた「疫病と広報史」のリンクをまとめました。
 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、スペイン風邪やポリオ、性感染症に関連するエピソードから得られる教訓について触れてみました。

広報会議 2020年11月号 スペイン風邪と鉄道マナーポスター 
広報会議 2020年12月号 スペイン風邪と広報、歴史からの教訓 
広報会議 2021年1月号 ポリオ撲滅運動と若者向け広報──プレスリーの予防接種が患者減に貢献 
広報会議 2021年2月号 性感染症予防キャンペーンの効果測定 
広報会議 2021年3月号 サンフランシスコ市マスク義務化条例 人々の反応は?  

動画シリーズ「教養としての広報の世界史」

 Key Message Internationalの岩澤さんと「教養としての広報の世界史」という動画シリーズを作成しました。いろいろな国の広報の歴史について短い動画でご紹介しています。
 広報の歴史は研究者が少なく、まだ分かっていないことも多く、日米以外の広報史はあまり日本語に翻訳されてきませんでした。動画では諸外国の広報史について、ポイントだと思ったところを取り上げています。
 内容に関する問い合わせがあればご連絡ください。

主な参考文献

シリーズ
教養としての広報の世界史:第1回 なぜ広報の世界史を学ぶのか?

教養としての広報の世界史:第2回 古代から近代までの広報の歴史

教養としての広報の世界史:第3回 近代から現代までの広報の歴史

教養としての広報の世界史:第4回 日本の広報の歴史

教養としての広報の世界史:第5回 日本の広報の特殊性

教養としての広報の世界史:第6回 米国の広報の歴史

教養としての広報の世界史:第7回 英国の広報の歴史

教養としての広報の世界史:第8回 ドイツの広報の歴史

教養としての広報の世界史:第9回 中国の広報の歴史

教養としての広報の世界史:第10回 フィリピンの広報の歴史

教養としての広報の世界史:第11回 ニュージーランドの広報の歴史

教養としての広報の世界史:第12回 米国の広報の国際的影響

教養としての広報の世界史:第13回 広報の歴史モデル

教養としての広報の世界史:第14回 対話ができる日本人へ(「教養としての広報の歴史」シリーズを振り返る番外編)















2019年5月2日木曜日

#自民党2019 若者向け政治広報の事例(5月2日現在)

自民党が5月1日から展開している若者向けプロジェクト、#自民党2019。若者向け、ということでネット上で発信内容を整理することが比較的簡単。プロジェクトが公開されて間もない、5月2日の段階での情報を整理してみました。

毎日新聞記事に基づくポイントと、個人的に気になった補足情報を載せた上で、リンク等を列挙しています。このキャンペーンを巡る反応、論点などは載せていません。


<ポイント>
(出展:『毎日新聞』2019年5月1日「「#自民党2019」プロジェクト開始 若者に狙い 令和時代の新広報戦略」)
・ターゲットは若者
・ターゲットを引きつけるためソーシャルメディアを活用し、映像やファッションを通じた発信を展開
・若者向けプロジェクトを立ち上げた理由として、安倍内閣への若年層の支持率が高年層より高い傾向があり、支持基盤を拡大するのが狙い
・夏の参院選も意識


<5月2日現在の補足。簡単に調べただけなので語尾は「模様」>
・自民党公式サイトのホームページに、特設サイトへのリンクは無い模様。
・天野喜孝氏によるビジュアルを用いた広告掲示は5月限定の模様。
・専用のインスタアカウントはあるものの、ツイッターアカウントは作っていない模様。
・2019年夏に予定される参院選に関する記述は、発信内容に含まれていない模様。
・天野喜孝氏によるアートのページを開くと7人の人物が並んでいるが、クリックすると中心の人物だけ大きく安倍晋三、と表示される。他の6人は押しても人名等は出ない模様。(参考画像は以下。左がスマホサイトのARTページを開いた時に表示される内容、右がクリックしたときの変化。著者スクショ)

2019年5月1日水曜日

映画『ダンボ』と広報史

広報史の伝説的存在、フィニアス・T・バーナム。映画『グレイテスト・ショーマン』(2018年2月16日公開)で有名になった彼の業績の一つに、ジャンボという巨大な象をヨーロッパからアメリカに連れてきたことがある。

今年3月29日公開のディズニー映画『ダンボ』(実写版)の主人公、ダンボの親ジャンボの名前の由来はバーナムが連れてきた象。



バーナムと象の歴史は以下のYouTube動画が詳しい。サーカスや展示会の広報広告、そして19世紀末に拡大していた消費社会における広報広告に関する歴史の一幕としても面白い内容。



「ジャンボ」という言葉が「大きい」を意味するようになったのは、このジャンボという名前の象とのこと。
https://www.etymonline.com/word/jumbo

キャラクター、ダンボの名前の由来についてはこちらも詳しい。
http://imi-nani.fenecilla.com/disney_dumbo/#0

また、ディズニーが1941年に初めて映画『ダンボ』(オリジナル)を公開した際に用いたプレスキットは3つのパネルで構成され、開くとオフィスデスクのサイズ(1メートル強?)だった。実物がアメリカのMuseum of Public Relationsで5月1日から公開されるとのこと。パブリシティの取り組みも相当工夫されていた模様。


新元号の発表、天皇の退位・即位

大規模かつ多メディア展開を伴う行政広報キャンペーン
新元号の発表は、政府が決定した元号を公表する行政広報。

4月1日に行われた発表は、インスタグラムはじめあらゆるメディアを用いて行われた、大規模な広報キャンペーン。短期間にあたらしい元号を全国民および世界に伝えるため、政府があらゆるメディアを用いた事例。

メディア利用について:
新元号の発表、インスタでも。 ネットでのライブ配信を積極活用
新元号の発表、YouTubeやTwitter、Instagramでライブ配信。ネット時代を象徴しているかのようです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/new-gengo_jp_5c9ebdb4e4b0474c08ceea5c

効果について:
新元号「令和」発表の瞬間をアプリで生配信 実際にどれくらいの人がアプリを使ったのか?
https://lab.appa.pe/2019-04/revised-era-reiwa-apps-using.html

インターナル・リレーションズとしての側面
元号の発表、そして象徴としての天皇の退位・即位に関連する情報の伝達は、組織としての国が構成員である国民に対して行っているという意味でインターナル・コミュニケーションとしての側面もある。

組織への帰属意識を強める、今回の場合具体的には国民の一体感を強め、愛国心を育みアイデンティティを強化する効果が期待される活動。

ブログを開設しました

ブログを開設しました。

2019年4月1日付けで上智大学新聞学科准教授となり、いくつかの新しいことにチャレンジしてみることにしました。

一つは、ツイッターアカウントの開設。4月1日につぶやきはじめました。
https://twitter.com/tkunieda84

もう一つは、ブログの開設。5月1日、令和元年の初日にはじめます。
https://kuniedaprlab.blogspot.com/

ブログの現時点での目的は以下のページでまとめています。
https://kuniedaprlab.blogspot.com/p/blog-page_1.html

執筆者のプロフィールは以下のページでまとめています。適宜更新予定です。
https://kuniedaprlab.blogspot.com/p/blog-page.html