読者として想定しているのは現場で実務を担当されている方から学生、研究者まで、広報・PRに関心のある方々一般ですが、いわゆる「明日から使える広報・PRのテクニック」を求めている方には役に立たない情報がほとんどです。
執筆者は社会人として広報実務を担当したことはなく、現場経験はアルバイトのみです。ただ、大学で広報・PRの教育や研究に携わっている立場なりに情報を収集し、整理していきます。ノウハウの蓄積よりも分野の議論の整理、体系化を目的とし、現場はこうすると上手くいく、といった「べき論」はあまり展開しない予定です。
当ブログでは、「広報・PR」という言葉を用いていますが、実質的には「戦略的コミュニケーション」一般を対象に取り扱います。プロパガンダやマーケティング、広告など「広報・PRとは違う」と語られてきた関連概念も扱うことで、それぞれの関係についても検討していきます。
事例や論文などに触れていきますが、特に歴史に注目します。広報史研究の意義については、Ron Pearson(1990, p. 27)が「広報史を巡る異なる視点(原題:Perspectives on Public Relations History)」と題した論文の冒頭で、以下のように語っています。
"If all writing about the past is partly an effort to understand the present, a confusing and contradictory present would seem to call more insistently for historical analysis and explanation. This is particularly true for the profession and academic discipline of public relations."
「歴史を記すことは現在を理解する試みであるとすれば、混沌として矛盾した現状はさらなる歴史的な分析や説明を求めるだろう」という主張は、定義や役割、位置づけを巡って混乱が続く広報・PRの分野について考察する一つの方法なのだと思います。
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(2019年5月1日執筆)
参考文献
Pearson, R. (1990). Perspectives on public relations history. Public Relations Review, 16(3), pp.27-38.